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第5話 マフィアのボス ダビシェ
ソウは1人で街を歩いていた。
砂埃が舞い、人が少ない通りをただ歩く。
スラムの外れだ。
その道には、たくさんゴミが積み上げられている。
砂埃をものともせず、そこで多くの人がゴミを漁っていた。
ここの者たちは、ゴミを外から集めてきて、それを分類し、リサイクル業者に売る。
そこで生計を立てている。
その者らの子供だろうか?
裸の子供が3人が、ゴミ山の近くで用を足している。
この一帯のスラム街には、トイレが数えるほどしかない(自分で所有している者を除いて)。
ほとんどの人間は奥の森へ行って、トイレを済ます。
夜の森に行くと、強姦や誘拐の可能性があるので、スラムに住む者たちの多くがもっとトイレを増やして欲しいと、国へ言うのだそうだ。
ソウは、それらを見ながら思う。
……あのノリとかいう奴のおかげで、こういう生活からは抜け出せた。
でも、スラムに住んでいる限り、俺もこいつらと同じなんだよな……。
ソウは、ノリとラドが捜していた人間だった。
売春宿を燃やした事件後に、ノリはソウに話をした。
ノリは、師であった西条紅雄の家族に会いに、ネパールからインド、ニューデリーにやってきたと言う。
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