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ソウが住人たちの視線の先を見ると、簡易ステージが設けられていた。
簡易ステージには屋根があり、それら支えている脚部やフレームは、軽くて丈夫なアルミ製。
ステージの上には、強烈なライトと大きなスピーカ、そしてバッテリーが設置されていた。
剥き出しに見えるが、おそらくすべての機器に水、粉じんに強い野外用の防雨型が使われていると思われる。
天候に左右されることのない完璧な野外ステージだ。
しばらくすると、ステージにスーツ姿の屈強なネパール人を両脇に連れた、清涼感のあるミディアムブロンドの女性が現れる。
高いヒールに白衣姿、クロエ・グラッドストーンだ。
クロエはマイクを使って、スピーカから声を出す。
「皆さん、今日はこのような雨の中を集まってくれて感謝します」
どこで覚えたのか、流暢なヒンディー語を使っている。
その様子はマイクスタンドの前、大袈裟にゆっくりと手を動かしながら、自信満々の笑みを浮かべていた。
クロエは、このスラムを安全で、誰でも安心できる街に変えたいと話し出す。
犯罪を無くし、誰もが富を得て貧困がない生活を、と続けた。
住民の1人が、そんなことできるのか? 大きな声を出すと、次々とそれに続いた。
その質問に、クロエは笑顔をで答える。
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