53人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
だが2人はその後、逃げれないように囲まれ、集団でリンチされた。
それでも20~30人近くは倒したが、やはりいくら2人が強くとも、現実的に勝てるわけがなかった。
「また会いに来る。次は取った金を用意しとけ」
男たちの1人がそういうと、全員引き上げて行った。
ボロボロにされた2人は、身ぐるみを剥がされ、裸同然でヘブン・オア・ラスベガスを目指して歩く。
幸いに2人とも骨折などの大きなケガはしなかったようだが、歩くたびに激痛が走った。
「クソッ!! ケンカはやっぱ数なのか!!」
悔しそうにいうソウの体を支えながら、ラドが答える。
「でも、お互い残るケガがなくてよかったろ。それだけでも運がいい」
「よかないだろクソが!! こんなボロ雑巾みたいにされてよ。お前にはプライドがないのか!?」
ソウは泣きながら言った。
傷の痛みで泣いているわけではない。
ただ悔しくて泣いていた。
ここまでボロボロにされたのは、生まれて初めての経験だったのだろう。
「へへ、プライドよりもっと大事なものが俺にはあるんだ。お前も負けるのわかってたくせにそんなに悔しがるなよ」
「クソ、クソ……クソッ!!」
ラドが笑顔でいうと、ソウは俯き、ただその言葉を繰り返した。
最初のコメントを投稿しよう!