第6話 2対100

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だが2人はその後、逃げれないように囲まれ、集団でリンチされた。 それでも20~30人近くは倒したが、やはりいくら2人が強くとも、現実的に勝てるわけがなかった。 「また会いに来る。次は取った金を用意しとけ」 男たちの1人がそういうと、全員引き上げて行った。 ボロボロにされた2人は、身ぐるみを剥がされ、裸同然でヘブン・オア・ラスベガスを目指して歩く。 幸いに2人とも骨折などの大きなケガはしなかったようだが、歩くたびに激痛が走った。 「クソッ!! ケンカはやっぱ数なのか!!」 悔しそうにいうソウの体を支えながら、ラドが答える。 「でも、お互い残るケガがなくてよかったろ。それだけでも運がいい」 「よかないだろクソが!! こんなボロ雑巾みたいにされてよ。お前にはプライドがないのか!?」 ソウは泣きながら言った。 傷の痛みで泣いているわけではない。 ただ悔しくて泣いていた。 ここまでボロボロにされたのは、生まれて初めての経験だったのだろう。 「へへ、プライドよりもっと大事なものが俺にはあるんだ。お前も負けるのわかってたくせにそんなに悔しがるなよ」 「クソ、クソ……クソッ!!」 ラドが笑顔でいうと、ソウは(うつむ)き、ただその言葉を繰り返した。
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