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その様子を、ソウは不機嫌そうに眺めていた。
ソウは思う。
……なんでこっちから謝んだよ!?
ノリの野郎、自分はやられたくないからか!?
ふざけやがって。
それにその金は俺のだろが。
勝手に返そうとするなよ。
しかしソウは、その場では何も言わなかった。
――数日後。
レットがダビシェに会いに行ったらしく、謝罪の場の日が決まった。
場所は、スラム街の中心にある、レンガ造りの大きな屋敷――ダビシェたちが根城にしているところだ。
当日は、レットもノリに付き添う形で向こうも納得したらしい。
レットは言う。
「まぁ、金を返して、燃やした建物の弁償でもすれば丸く収まるだろ」
ノリは、何も言わずに頷く。
日本人であるノリなら、簡単に払えるだろうとレットは思っていた。
インドの物価は世界レベルで安い方だ。
もちろんインドは広い国なので州や地域によって差があるようだが、先進国の人間からしたら高い地域でも安く感じるだろう。
ニューデリーにあるスーパーマーケットで、水1.0リットルのペットボトルが、日本円で約25円。
インスタントラーメン1個も約25円。
6枚入りのクッキー1袋は約42円。
野菜の多くは、1kg買っても100円もいかないくらいの値段だ。
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