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「レットさん、ありがとうございます。おかげでうまく収まりそう」
ノリは両手を合わせ、笑顔でレットに頭を下げた。
その様子をラドは嬉しそうに見ていて、ソウはただ不機嫌そうに見ていた。
そして当日――。
ノリはレットと2人でスラム街の中心――ダビシェの根城に到着した。
めずらしくリュックサックを背負っているノリ。
中にはきっと、今日渡す予定の現金がはいっているのだろう。
見張りなどは特に居ず、入り口で靴を脱ぎ、石張りの床を進んでいく。
そして大広間へ入ると、そこには顔中に皺や傷がある男――ダビシェが犬を1匹連れて、絨毯の上に1人あぐらをかいていた。
「よう、早いな。まだ十分前だぜ」
ダビシェは、気さくな感じで東とレットに声をかけた。
レットの言った通り、ダビシェの日本語は完璧だった。
それは、日本人が話しているのと変わらないくらいのレベルだった。
レットは言う。
「悪いな。わざわざ時間作ってもらってよ」
そういいながら、軽く頭を下げるレット。
その横でノリも両手を合わせて頭を下げた。
ダビシェは機嫌がいいのか、笑みを浮かべて返事をする。
「あぁ、おかげでハットリくんが見れなくなったがよ、なぁニンジャ」
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