第17話 女学者と女剣士

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特に首都ニューデリー周辺では、排泄物の57%が流入していることもあって、政府としても深刻な状況だ。 その問題に、インド政府は五億ドル近く投じてヤムナー川の浄化を図ったが、多くの生活排水処理施設が資金不足や故障に見舞われ、生活ゴミによる汚染は拡大を続けていた。 ブロンド女性は、しばらくすると屋上から室内に入り、階段を使って降りていく。 ヒールの高い靴を履いているせいか、一段降りるたびにコツンといった音が鳴り響いた。 3階の奥にある研究室へ向かうため、指紋認証、虹彩(こうさい)認識といった厳しいセキュリティを抜けて進んでいくブロンド女性。 建物自体は地味だが、研究所内の設備は充実している。 クリーンベンチ、インキュベーター、フロントサイトメーターレーザー顕微鏡。 それから最新鋭の(DNAコンピューターやバイオインフォマティクスなども備えている。 ブロンド女性は、このフロアの個室に入っていく。 そこにはテーブル一面がタッチパネルになっているデスクがあった。 そのデスクのイスには、この場には(えん)がなさそうな人物が座っていた。 「ゼラ、戻っていたのね」 声をかけられた人物はイスから立ち上がった。 その人物は、少し陽に焼けた肌で髪は短く、身長180cmくらいでモデルのように手足が長い。     
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