第17話 女学者と女剣士

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「そういえばあなたにはまだ話してなかったわね。……私ね。愛していた人がいたのよ」 それを聞いたゼラは黙ったままだが、クロエのいっている意味がよくわかっていない。 クロエは続ける。 「その人がニューデリーのスラム出身でね。よく私にこの街を変えたいって言っていたわ」 そういうクロエの表情は、どことなく恍惚(こうこつ)さを含んでいた。 「だから私が変えるの。もうすぐ彼が戻ってくるから、綺麗になった街を見せて驚かせたいのよ」 「お前……いかれているな」 悲しそうにいうゼラ。 クロエは、ゼラが座っていたデスクのイスに座る。 そして足を大きく動かして組み、さらに恍惚の表情を浮かべて言う。 「あら? でもあなたも私と同じでしょう? 私たちは“死んだ人間を生き返そうとしている”のだから」 ゼラは何も言わない、何も返さない。 クロエは嬉しそうに続ける。 「大丈夫。問題はもうすぐクリアできるわ。もう少しなのよ。コピーじゃない本物を、魂を、吹き込めるための実験は」
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