第18話 あなたに会いたい

2/5
53人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
ノリはそういうことに興味がないと思っていたソウは、その話を聞いて不思議そうな顔をしている。 レットはそのまま笑いながら続ける。 「ある意味じゃ幸せだよな。この世は生活に追われて生きている人間が大半なのに、あいつは女の尻を追いかけているんだから」 レットの本音なのか、冗談なのかよくわからない話を聞いて、ソウは買い出しに出かけた。 ソウは思う。 ……ノリに女ねぇ。 たしかにレットの言う通り、このご時世で気楽なものだ。 そう思ってからソウは、ラドのことを思い出していた。 「しばらくいなくなる。わりぃけど、ノリさんにはお前からうまく言っておいてくれ」 ……ラドのことはどう説明すればいいんだ。 生物学者の顔を見たら、どこかへ行ってしまったとは言えないしな。 まったく勝手な奴だ。 ――その頃ノリは、レットの言った通り、デリーの中心街に来ていた。 まだダビシェとの戦いの傷が()えていないため、全身に痛みを感じながらも人を捜していた。 デリーの街には3つのエリアに大きく分けることができる。 旧市街と呼ばれるムガル帝国の象徴レッド・フォートのあるオールドデリー。 経済、商業の中心地で高層ビルの立ち並ぶ最も活気のある地区ニューデリー。 そしてインド門やフマユーン廟など観光の中心のサウスデリー。     
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!