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ノリはそういうことに興味がないと思っていたソウは、その話を聞いて不思議そうな顔をしている。
レットはそのまま笑いながら続ける。
「ある意味じゃ幸せだよな。この世は生活に追われて生きている人間が大半なのに、あいつは女の尻を追いかけているんだから」
レットの本音なのか、冗談なのかよくわからない話を聞いて、ソウは買い出しに出かけた。
ソウは思う。
……ノリに女ねぇ。
たしかにレットの言う通り、このご時世で気楽なものだ。
そう思ってからソウは、ラドのことを思い出していた。
「しばらくいなくなる。わりぃけど、ノリさんにはお前からうまく言っておいてくれ」
……ラドのことはどう説明すればいいんだ。
生物学者の顔を見たら、どこかへ行ってしまったとは言えないしな。
まったく勝手な奴だ。
――その頃ノリは、レットの言った通り、デリーの中心街に来ていた。
まだダビシェとの戦いの傷が癒えていないため、全身に痛みを感じながらも人を捜していた。
デリーの街には3つのエリアに大きく分けることができる。
旧市街と呼ばれるムガル帝国の象徴レッド・フォートのあるオールドデリー。
経済、商業の中心地で高層ビルの立ち並ぶ最も活気のある地区ニューデリー。
そしてインド門やフマユーン廟など観光の中心のサウスデリー。
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