第18話 あなたに会いたい

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その中で、スラム街からしばらく歩いた、ニューデリー駅方面にノリはいた。 色が白く小柄で、大袈裟な民族刺繍(みんぞくししゅう)がしてある白い服の上に、この暑い中、黒いフードつきの上着を着ているノリを見て、すれ違う人は不思議そうな顔をしている。 日本人がめずらしいということでもない。 首都に住むインド人の多くが(物乞いや詐欺師は除く)、観光客に無関心だからだ。 だが、そんなコスプレじみた格好が目を引くのか、ノリはかなり目立っていた。 そんなノリに1人の男が声をかけて来る。 「ハローお嬢さん。グレイトなファッションだね。ベリービューティフルだよ」 その男は髭を()やして、上には迷彩服、下には白いライン線が入ったジャージ姿。 肌の色が黒く、顔も堀が深い、わかりやすいインド人だ。 英語交じりの日本語で話す髭の男。 どうやらノリを女性と間違えているらしい。 「いや、その……俺、男ですけど」 「デリーにはどのくらいの期間居るの? もし列車のチケットが欲しいなら、売り場もう終わっちゃっているから、買えるところへ案内するよ」 ノリの話を聞かずに続ける髭の男。 海外で、観光客へ気軽に声をかけてくる人間の多くは詐欺目的である。 おそらくこの髭の男もそうだろう。     
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