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第24話 もっと勇気を
ヤムナー川の側――ドゥルガネーシャ研究所。
仕事を終えたと思われる、スラム街の住人たちが研究所から出てくる。
その様子を遠くから見ているソウ。
ソウはここ数日間、研究所の張り込みをしていた。
中へ侵入するためだ。
見ている限り、朝と夜に出入りしているスラム街の住人たちは、鍵などを使ってはいない。
どうやら、入り口はそのまま入れそうだ。
……このまま何も考えなしに入って行って、あいつらを殺れるか?
もし中のセキュリティーがしっかりしていたらどうする?
ソウは考えながら、腰に下げられたサーベルのグリップ部分を握った。
そして、その手には力が込められる。
……いや、やるんだ!!
このままずっとここで見ていたって状況が変わるわけじゃない。
ソウの顔は、この暑い中を何日も張り込んでいたはずなのに、疲労の色が一切出ていなかった。
むしろ気力は充実し、その目は人を殺すこと、そして自分が殺されることを覚悟した目つきになっていた。
それから、すべての住民たちが出ていくのを見届けたソウ。
心なしか、日に日に出入りする住民たちの人数が減っている気がしたが、そんなことは気にせずに入り口へ素早く移動した。
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