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第27話 逃げない
ドゥルガネーシャ研究所内――。
3階へ向かう階段を慎重に上がっていくソウとラド。
ソウは、ダビシェの代わりに街を守ろうと、この3階建ての施設ドゥルガネーシャ研究所へ侵入した。
そこには、消えたラドが捕まっていた。
ソウは生まれて初めて人を殺し(純粋な人間ではないと思われるが)、拘束されていたラドを救出する。
「おいラド。本当に大丈夫かお前?」
慎重に進みながらラドに声をかけるソウ。
ソウとしては一度引き返すべきだと思ったのだが、ラドがそれを拒んだ。
クロエによって体のどこかを弄られたのなら、それを証拠にして警察に話せば、この研究所ごとクロエを潰せるのではないか?
ソウはいったが、ラドが首を縦に振る(インドでのNOは頷く、逆にYESは首を横に振る)。
その仕草を見てソウは、自分でいっていて気がついた。
クロエは、政府に貢献して新聞に載るような人物だ。
かたやスラム街出身のソウや、身分証明書などを持っていないラド。
そんな2人が、何を言っても相手をしてもらえないのは明白だった。
思わず、苦虫を潰した顔をするソウ。
だがそれでも引き返した方がいいのではないか? と言う。
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