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第15話 意味がわからん
ダビシェの縄張りである闇市場での抗争から数日後――。
ソウとラドは、ノリが燃やしてしまった高級売春宿、ナイトクラブ『セックス・プレゼント』の前に来ていた。
焼け跡には、ストリートチルドレンたちが蠅のように群がっている。
世界中の多くのスラムでは、街で火事があるとこのような光景が当たり前だ。
ストリートチルドレンたちは袋を担ぎ、廃品として売れそうな物を探しているのだ。
火事以外で言えば、洪水が街を襲った後も、濁流に押し流された物の中から売れそうな物を探す。
災害は彼らにとって、宝探しのようなものかもしれない。
ラドは急に走り出すと、子供たちに近寄って声をかけている。
そして、しばらくすると戻ってきた。
ソウが訊く。
「お前、何をしに行ったんだよ?」
ラドは、何か良い物は見つかったか? と訊いただけだと言う。
戻ってきたラドは、ストリートチルドレンたちの服の臭いであろう、強烈なアンモニア臭がした。
ソウは言わなかったが、路上生活者でも体くらい洗えばいいのに、と思った。
ソウの言う通り、スラムに住む路上生活者すべての人が臭うわけではない。
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