ニューデリー・ブルース

第17話 女学者と女剣士

白衣姿のブロンド女性が屋上から外を見ていた。

女性がいる屋上にはリラックスするためか、パラソルとソファーが設置されている。

ここはドゥルガネーシャ研究所と呼ばれる施設である。

3階建ての建物で、窓は少なく、余計な装飾(そうしょく)は一切ない。

女性が見ているのはヤムナー川。

ヤムナー川はインド北部を流れる全長1,370kmの川で、ガンジス川最大の支流だ。

ウッタラーカンド州のヤムノートリーを水源とし、デリー、ハリヤーナー州、ウッタル・プラデーシュ州を流れ、アラハーバードのトリヴェニー・サンガムと呼ばれる地点でガンジス川に合流する。

流域にはデリー、マトゥラーおよびアーグラーといった都市がある。

歴史では、インド北部における地殻変動によって川の流れが東に変化し、ガンジス川の支流となったと言われている。

デリーでは、この川の別名であるジャムナー川と呼ぶ者も多い。

「酷いわね。さすがは世界でも有名な汚れた川……」

ブロンド女性が川を見て、ため息をつきながら呟いた。

ヤムナー川は世界で最も汚れている川の1つとされている。