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第2話 切られても慕う
レットは店内に残ったノリという日本人に声をかけた。
だが、ヒンディー語がわからないようで困った顔をしている。
その表情はまるで幼い少女のようだ。
「え~あ~、あんたの連れ大丈夫か?」
しょうがなく日本語で話しかけるレット。
ノリは驚いた顔をして言葉を返す。
「日本語がわかるんですか?」
「あぁ、わけぇ頃に覚えたんだよ。それよりあのラドって小僧……」
「ラドくんなら大丈夫だと思います。ちょっと心配ですけど、彼強いですから。心配してくれてありがとうございます」
ノリはそういうとレットに、両手の手の平を合わせて頭を下げた。
ゆっくりと上品としたその仕草は、先ほど少女のような表情を見せたものとは違い、洗練された老紳士のようだった。
そしてノリは、2人分のコカコーラを注文する。
レットは思う。
……日本人は年齢がわかりづらいが、こいつはまた性別までわかりづらいな。
ゆったりした服のせいか、体型が見えないのも女っぽい。
冷蔵庫からコーラのビンを2つ出し、蓋を開けてノリへ差し出すレット。
「あんた、格好からして修行僧かい?」
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