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それから僕はひとりで風呂に入ってもタイムリープすることは無かったが、ある日の午後に過去の幻影を視た。
それは子供の頃の僕と母がお風呂に入っているシーンだった。
僕は湯船に浸かって、その若い母と子供の僕を眺めている。そしてその和やかな過去のひと時を見ていて、とても単純なことに気付いた。
もしあの時、違う道を選んでいたら、娘は生まれることはなかったし、彼女と結婚しなかった事にずっと後悔しただろう。
母は本当はそれを教えたかったんではないかと思った。
「わたしに反対して結婚したけど、ほんとうに良かったのかしらね?」
その母の二度目の問いに、僕は「もちろん良かった」と答えた。
そろそろ先の道へ進もう。
[end.]
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