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それから数十分間沈黙が続き、僕らは暗黙のうちに答えを出していた。
『もう一つの道へ踏み出してみよう』
その未知の物語に惹かれたのである。自分が死んだわけでもないのに、母の結末がその道の終わりのように思えてしまった。
そして翌日の夕方、僕は彼女と記念日によく利用しているレストランで食事することになった。彼女は吹っ切れたのか、お洒落をして明るい表情で現れた。
どんな運命になろうとも受け入れようと決めているのだろう。
強い女性だが、落ち込む時は水の底を見てこないと浮き上がれないタイプだ。
「どうしたのかな?」
「えっ?」
僕は未来の意識がタイムリープして頭の中にいる事がバレたのか思って焦った。
もうひとりの僕は夜明け前に一度消えたが、この時間に合わせてジャンプして大切な場面に立ち会っている。
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