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それは彼女も同じだったようだ。
僕らはあんなに落ち込んでいたのに、付き合い始めた頃の初々しい気持ちを思い出した。あの時僕は、彼女こそが僕の救世主だと思った。それくらい僕は世界の中で孤立していたのである。
そして彼女は僕を救えるのは自分しかいないと思っていた。それが僕には少しづつ強い存在になり過ぎて、距離を置きたいと思ったのかも知れない。
そんな自信家だった彼女が、今回の困難に打ちのめされてしまった。
きっとお互いを見つめ直す良い機会だったんだよ。
人生は逆戻りするのではなく、今そこにある困難を乗り越えて行くしかない。
僕は彼女と前へ進むことだけを考えた。
それこそが真実の道だと思ったのである。
そして僕の未来の意識は一瞬にして過去から現在へジャンプした。パニックからまだ抜け出せなくて、頭の中を黒い雲が渦巻いている。まるで時間の嵐が吹き乱れているようだった……。
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