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そして僕が暫くソファーで横になっていると、妻がお茶の用意をしてお土産をテーブルに出してくれた。娘は二階の部屋に上がって着替をしている。
「あなた、お母さまが病気で亡くなってから様子がおかしかったでしょ?何を話しても上の空で、気持ちが遠くに行っているみたいだった」
僕は暖かいお茶を飲みながら、それをしみじみと聞いていた。
「暫くひとりにさせてあげようと思ったの。驚いたでしょ?」
妻は猫みたいに微笑んでいる。お菓子はディズニーのキャラクターだった。娘と二人でディズニーランドで遊んでいたのか?
「娘も春休みだったから、千葉の親戚の家に行ってたの。楽しかったわ」
一週間前、妻は「別々の時間を過ごして、過去を振り返るのも良いかもしれません」と書いた置き手紙だけ残して娘と一緒に突然いなくなった。
たぶん僕のことだけではなく、自分も母の死で精神的に落ち込んでリフレッシュしたかったんだろう。
「帰って来て良かったよ」
僕は妻と娘だけではなく、自分に向けてもそう言って笑った。
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