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そして数ヶ月後の母は食事ができなくて、骨と皮だけになって骸骨のようにやせ細ってしまった。
最後に帰った時、僕は母の寝室の隣の部屋で徹夜で看病して、真夜中にベッドから上半身を起こした母に水差しで水を飲ませた。
その時、水が少し床にこぼれて、それを踏んだ母はお漏らししたかと思って落ち込み、その寂しそうな声が僕の耳にリフレインする。
「もらしたか?」
「いや、違う……」
『だから水差しの水を替える時、雫を拭いておけば良かったんだよ』
僕にはそんな繊細な優しさがない。形だけ繕っているからそうなってしまうんだ。
『でも、もう大丈夫。僕が僕を助けてあげよう』
『正しい道へ導いてやるよ』
僕は意識が戻って、湯冷めした体を起こしてフラフラと立ち上がった。どうやら100数えて湯船から上がった時、気絶して床に倒れ込んだようだ。
時間としては数十分の出来事だった。
そして今度タイムスリップしたら、絶対に何か変えてみせると決意した。
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