5人が本棚に入れています
本棚に追加
私と中沢君は、同じ中学校に入学した。しかし、私達の中学校はマンモス校で、私は12組、中沢君は4組で、校舎も別だった。さらに、私はソフトボール部で彼はバレーボール部だったので、活動場所も校庭と体育館と離れていたため、ほとんど会うことが無かった。
でも、離れていたのが良かったのか、本当にたまにばったり会った時、私達は、自然に笑顔になれた。そして、両手を前に出し、ハイタッチ。
示し合わせたわけでもなく、自然に手と手を合わせた。
それが、とても嬉しくて、偶然会った時は、必ずハイタッチ。でもそれだけだった。
中学の卒業式の日、帰りに中沢君が私のところにやって来て、
「ねぇ、ボタン交換しよ。」
と言うので、彼の学生服の第2ボタンと私の制服のボタンを交換した。そして、
「じゃあね。」
と言うと、ハイタッチして別れた。
最後にハイタッチした時に、両手を合わせた間から見えた中沢君のキラキラ輝いていた目が、ずっと心に残って忘れられなかった。
私達は、別々の高校へ進学した。
中沢君とは、一度も会ってない。
最初のコメントを投稿しよう!