三話 縋る子3

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三話 縋る子3

「あの……除霊ってどうするんです か?」 ずっとからっていたそのリュックの重 みから開放され、一度肩を回す。 「心配しなくても、そんな痛いもので はありません。」 「やっぱりお教とか唱えたりするんで すか?」 長く一人で苦しんでいたその悩みに 理解者がいた事が少し心を楽にした のか先程の彼女とはうって違って、 出てくる質問が止まらない。 「仕事仲間にそういうのをする 人はいます。 でも、俺のやり方は全く違います ね。まあ説明するのも難しいのです が……そうですね……一人かくれんぼ というのを聞いたことがあります か?」 「知ってます。心霊系が好きな友人に 聞かされました。 確かぬいぐるみとかくれんぼする んでしたよね?」 「ええ。簡単に言うとそうです。 その遊びに必要な物はご存知で?」 「……ごめんなさい。そこまで は……。」 「いえいえ、構いませんよ。 それでは少し 説明しましょうか。」 そう言って俺はリュックを開け、 その中に手を入れる。 「まず用意する物としては米、自分の 爪、赤い糸、ハサミ、食塩水、 そしてぬいぐるみですね。」 俺はリュックの中から口にした物を 順に出していく。 「あ、真美さん。この爪切りで爪を 切ってもらえないでしょうか?」 「は、はい。」 「最初にぬいぐるみの腹部を ハサミで切って綿を取り出します。 そしてその中にお米、そして対象の 爪を入れ、赤い糸で縫います。」 そう言いながら、リュックから取り出 した熊のぬいぐるみを同じ手順で処理 していく。 「まあこの後はぬいぐるみとかくれん ぼをするという流れになります。」 「ぬいぐるみを刃物で刺して、 隠れたらぬいぐるみが自分を探しに 来るんでしたよね?」 「そうです。まあこの遊びは 有名ですよね。」 「でも、どうしてその話を?」 彼女の言葉を俺は待っていたかのよう にニヤリと笑う。 「先程真美さんに切って貰った爪が このぬいぐるみの中に入っています。 そして今からこのぬいぐるみで 除霊を行います。」 「え!? そのぬいぐるみで?」 「そうです。この熊のぬいぐるみで 貴方にしがみつくその霊を祓いま す。」 その言葉を理解する事ができず、 頭にはてなを浮かべる彼女をよそに 俺はその霊をじっと見詰めるのだった。
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