四話 縋る子4

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四話 縋る子4

「ところで除霊に入る前に 貴方はどういった経緯でその霊に 取り憑かれたのですか?」 「ああ……えっと……ですね。」 彼女は苦そうな顔を浮かべながら 重たい口を開くのだった。 「なるほどその心霊スポットのダムで その少女の霊を見たと。」 「はい……それからずっとこうやって しがみついたままで。 馬鹿ですよね……私って。自分のせい でこうなって、家族にも心配かけて、 こうやって霊媒師さんにも迷惑を かけて。」 「まあ霊に取り憑かれた原因はそうい う面白半分で心霊スポットに行ったっ てのがほとんどですから、別に真美さ んだけが愚かだって言えませんよ。 それに、我々にとっては仕事が増える ので、迷惑だとは思ってませんよ。」 俺が落ち込む彼女に励みの言葉を 言っても彼女は下を向いたままだった。 「ただ……中には危険な霊がいる。」 口調が変わり、急に低い声を出した俺を 彼女は、はっと顔を上げ確認する。 そして、彼女と目が合うと俺は 安心させるように笑顔で話を続ける。 「その点、その少女は悪い霊では なさそうです。」 取り憑かれてから恐らくずっと その身から離れなかった霊を彼女 は見る。 「その霊はただ誰かのそばに いたかっただげなのでしょうね。」 「どうして……そんな事がわかるんですか……?」 「元々人は死んでしまえば 成仏して、いわゆる霊界という ところに行きます。 しかし、中には怨念によって そこに行くことができない者もいる んです。 生前、ある特定のものに憎悪や 怒りを持ったまま無念の死を遂げた 者とか、または獣の類などもそうで すね。」 「じゃあこの子も誰かに怒りを持った まま死んでしまったんですか?」 「いいえ。その子は怨念によって 霊界に行けなかったのでは無く、 自分が死んだということに気づけて いないんですよ。」 「死んだことに気づけていないって ……そんな事が本当にあるんです か?」 「ええ、むしろその方が多いんで すよ。自分が死んだ事に気づいて いなければ、この世の人間にさほど 危害を加えることはありません。 現にその子が取り憑りついて体調を 崩したり、身体に何か影響したりした ことは無かったでしょう?」 「そう言われてみれば……私、 ただ恐怖で怯えていただけだったの かもしれません。」 彼女の安堵に思わず俺も笑みが 溢れた。 「しかし、真美さんに霊が触れて いるという事はあまり良い事ではない んです。」 「え? この子は無害なんじゃ……。」 「確かにただ取り憑いているだけなら まず無害でしょう。 しかし、成り得る物と成り得ない物が 触れ合っているというのはとても危険 なんですよ。」 「どういう事ですか…?」
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