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「あ、」
またふと、頭を過った。
僕は、人間ではなく、魚なんじゃないか、なら居場所は海か川か……とにかく、水の中なんじゃないかなんて発想が。
けれど、すぐにそれはないと頭を振って打ち消した。
だって僕はカナヅチだから、それは無いだろう。
僕は水泳も苦手だ。
水の中に入ると途端にザワザワとしてどうにも、昔から、周りのように泳ぐことが出来ない。
学校の25mのプール、足が着くはずの場所で、自由にならない手足をバタつかせ周りに笑われたことは、数知れず。
バタバタと手足を動かしても体は浮上しない。
「足が着くだろー」と周りから笑い声とともに声をかけられるが、知ったこっちゃない。
こっちからしたら、地面どこだって感じなのだから。
焦ると、余計にゴボゴボと口の中に水が入ってきて、苦しい。
しまいには体が水の中に沈んでいってゴボッと大きな空気の泡を吐き出して意識が暗転したこともある。
暗転する前に、水の中から見た空は綺麗だった。
笑って見ていた周りも、そうなれば途端に慌てだして引き上げられた僕は、体育教師の心臓マッサージで蘇生、大量の水を吐き出し病院に運ばれ、そのまま肺炎になり、入院なんて事もあった。
学校のプールでそれなのだ。
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