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上を見あげれば広がる青空。
何時もそこにあるのに、なんで気づかなかったんだろう。僕は高いビルを探した。今どき、安全性やらの問題で屋上が解放されているところなんて果たしてあるかと思いながら。
そして行き着いたのはまさにお誂え向き。
解体工事前の鉄筋が剥き出しになった廃ビル。
「何年も、このままな気がするけど……」
昔からここの工事は進んでいない気がする。
ずっと前にこのビルは壊されて新しく商業施設が立つなんて噂を聞いた気がするが、そんな気配はない。新しいデパートが出来るかもしれないと子供心にワクワクしたものだが、何年経ってもそんな施設は出来なかった。途中で計画が頓挫したのか、何なのか、理由は知らないが、今回はそれが有難く思えた。
立ち入り禁止の柵を越えて、中に入る。
埃っぽいし、地面には細々とした廃材が転がってはいるが別にそこは問題じゃない。だって別にここに住もうってわけじゃない。屋上にさえ出られればなんでもいい。
コンクリート剥き出しの建物を進んでいく。
遮るものが無いから階段なんかはすぐに見つかるが、なんとなく、RPGのキャラにでもなった気分だった。
「ダンジョンみたいだ……」
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