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歩いたところで溜まるのは疲労感だけで経験値なんて上がらないけれど。
ひたすら階段を登り、外から見た感じの、最上階だと思う階に着いた。
けれど、階段はまだ続いている。
階段の壁にRの、表記。
「……あった」
僕は最後の階段を駆け上がった。縺れる足を必死に動かして、階段を上る。
扉の前にたどり着いた。
ここまで来て、ドアに鍵がかかってるんじゃと思ったが、ドアノブは拍子抜けするほどあっさり回る。
「それでいいのか……ここの管理……」
随分、ずさんだ。
それとも、同じように屋上に来る人がいて、僕より先に来た誰かが鍵を開けてしまったのか。
誰のお陰かは知らないけれど、鍵を壊さなきゃいけないという事態は避けられた。
僕はあっさり、屋上に辿り着いた。
「……ダンジョンクリア?」
ギシギシとなる扉を開けて一歩踏み出す。
「うわぁ」
強い風が吹き抜けた。
視界一面青が、広がっている。
太陽に近いはずなのに吹く風の勢いが強くてそれほど暑く感じない。
僕はフラフラと赤錆びた柵に手をあずけ、景色を見つめた。
通っている学校が見える、僕が溺れたプールも。
家も、多分、見える。
そこに居場所はなかった。
「空は、どうかな」
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