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「そうなのね。早く帰ってきてあげられたらいいのに」
「そうですね。ところで提案ですが、僕たちもそろそろ屋敷に帰りませんか? もうじき雨になりますよ」
マイケルの申し出に、ダーオは無言でうなずいた。二匹は乗合馬車を求めて駅に向かって歩き出した。
「だけども伯爵夫人の大切なお話って、いったい何なのでしょうね?」
子爵家の御曹司は、答えを伺うような呟きを漏らした。するとシャム猫の美少女は鼻の頭に少ししわを寄せると、小さく呟いて返事をした。
「たぶん……。あたしたち子猫は、知らなくてもいいこと。大人と大人の話よ」
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