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用心を重ねながら、ジェレミーはさらに近づいた。すると、石柱群の外側に二匹の男猫が待機しているのがわかった。両名とも油皮の防水マントを着ているが、その下は上質な上着を着ているようだ。
彼らは、女猫から一定の距離を取って離れているが、注意深くこちらの様子を伺う目つきをしている。きっと女猫の用心棒に違いない。
一団がジェレミーの接近にざわついた動きを見せたところで、若い差配は帽子のつばをつまんで、少し浮かせる挨拶をした。
「失礼ですが、ここで何をしていらっしゃるのですか?」
強風の中ジェレミーは声を張り、できるだけ快活に聞こえるように尋ねた。しかし一団はきつい視線を緩めずに、むっつりと押し黙ったままだ。ビュウビュウとうなる風音のせいで、こちらの言葉が聞き取れなかったのだろうか。
それでもジェレミーは、少しだけ安心することができていた。
男猫ばかりの不穏な一団ならば警戒もするが、女を交えた一団ならば犯罪に関与している可能性は低いからだ。しかも彼らは裕福そうで、金を欲しがる物取りには見えない。
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