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それから、あたし達はカラオケでまた注文して、飲んで騒いだ。
最初の席順は、当然のように友達同士で座る。
でも、そんなに経たずして、佐々木と谷村はウロウロし出す。
わかってる。
佐々木は香織を狙ってるし、谷村はあたしたちの事なんかどうでもいいと思ってる。
あわよくば、誰かとヤれたらいい位にしか思っていない。
谷村と佐々木がはしゃいでいる中、彼がずっと歌わないので、あたしは歌い終わった後、彼の横に座った。
「次、何歌う?」
わざと、"次" と言った。
それを聞いた佐々木が、彼にカラオケの電子ナビを渡す。
彼は、あわてふためいて電子ナビを使う。
「ヒロくんが知ってる歌ってどれ?」
そう言って、電子ナビを見つめる彼の顔に、あたしの顔を近付ける。
彼の顔が熱くなってゆく。
あたしで、彼の熱量が上がる…
彼は、有名アーティストが歌っているアニメの曲を選んだ。
多分、こういう場でギリギリ歌える曲を選択したんだ。
「あんまり歌えるのが無くって…」
「えーっ、普通に知ってるよ、いいじゃん」
あたしはふたつ、マイクを取った。
「はい」
「あ、ありがとう」
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