3人が本棚に入れています
本棚に追加
※※※※※※
Side─D(evil)
「お疲れ様 朝陽君。何か違和感があったらすぐにナースコールを鳴らしてね」
と言って部屋から看護婦さんが出ていった所で疲労から来るため息を吐きだす。
クロエさんと契約して夜が明けた。
翌日になっても俺の身体は不自由無く動き、昨日の出来事が夢でなかった事を実感させられた。
恐る恐るベッドから離れて自分の足で床の上に佇んでいた所で、丁度回診に来たドクターと出くわしてしまった。
そこからはちょっとした騒ぎになり俺はあらゆる検査を割り込みで行うという異例の事態に見回れて漸く今しがた解放された、という訳である。
「まあ、治ったらすぐ退院なんて……考えが甘いよね」
……コンコン
不意に個室のドアがノックされる。
また検査か、等と内心ぼやきながら自分の足でドアに近づき、自分の手でドアを引く
「はい……って、あれ?」
視線の先には誰もおらず、イタズラかなと首を傾げた所で足元に気配を感じ視線を落とす。
「?」
視線の先には小学生高学年くらいの身長で、褐色の肌、黒髪
そして何より痩せ細った身体がどことなく痛ましい女の子が佇んで俺を見上げていた。
「えっと……俺に何か用かな?」
「……は?」
見上げるのも大変そうなので屈んで目線を合わせて怖がらせないように笑顔で話しかけてみると、予想に反して怪訝そうな眼で睨まれた。
「?、もしかしてお見舞いの部屋間違えちゃったかな……えっと」
何を怒ってるのだろう、俺の知り合いではないし……ご両親とか近くにいないのかな?
「呆れた。アンタ、一晩で約束破るんだ?」
は、いぃ……?
いや、待とう。
今の言い様で何となく分かった気がするけど、もしかして……いやいや。
「あ、あの……もしかして、君って クロエさん、ですか?」
「?、何を今更。当然でしょ、他に誰に見えるの?」
………ああ、何と言うべきか
……いや、テレビで見たことがある気がします
「これが巷で言うところの『事案』ってやつ、ですね……」
俺の契約した悪魔がこんな子供だったことに謎の罪悪感が込み上げる。
そんな俺のひきつった表情に当の彼女は不思議そうに首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!