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「成る程。
……………………アナタは悪魔ですか?」
俺の頼みを聞き終えた彼女は俺の服を揺らしながら疑問を投げてくる。
失礼な、れっきとしたただの人間です。
「悪魔に神社を守って欲しいとか、本気で言ってる?
ねぇ、本気で言ってるのっ!?」
「……やっぱり出来ないんですか?」
「出来る出来ないの前に絵面がヤバいと思うんですけどっ!?
無理!!ただでさえ神気に満ちてそうな場所なのに
罪悪感マッハで早死にするでしょっ!?」
一応本気だったんですけどね。
まあ、相手の言うことも一理あるので仕方がない。
「もうちょっと大切に考えてみなさい。
場合によっては一生ものの契約になるんだから」
「でもきっと君と契約すれば俺は長生きできませんよ。
そして、そんな俺よりも君は長命だ
人が遺したモノを次に繋ぐ、このまま死んでいく俺にとって不可能だったことです。
そんな願いを叶えられる奇跡があるのでしたら……
うん。俺はそれで充分なのです」
別に神社を継ぎたい訳じゃない、自然と衰退するのも仕方ないとさえ思う。
ただ、自分のせいでこのまま衰退すること、忘れ去られることは無意味な終わりかただ。
……それは、少しばかり納得が出来なかった。
……ギリ
小さく歯ぎしりが鳴った。
俺ではないなら、当然彼女の……と彼女を見上げようとした所で胸ぐらを思い切り引っ張られた。
「──なにそれ?
今にも死にそうなくせに他人の遺した物の心配とか……
なんで助けろって言わない訳?生きたいってすがらない訳?」
彼女が触れてるお陰が僅かに動く首を前に傾け暗闇から覗く赤の瞳を見つめる。
不思議だった。
何で彼女は、他人の俺に俺より必死に怒るのか……何が彼女の癪に障ったのだろう?
「悪魔の契約なんですから、対価を払えばどのみち死ぬじゃないですか
寧ろ俺の短い寿命で叶えられる願いなんてあるんですかね……?」
「っ、勘違いしないでくれる……?
アナタの命なんて私にとってはなんの価値もありませんし?
……でも、そんな価値のない命でも価値のない神社ぐらいは守れるんじゃない?」
敬語とタメ口の混ざった話し方
なんとなく彼女が敬語なんて本来話し慣れてないのが分かる。
そして彼女は何を言いたいのか……
ボロクソに言われてるような、そうでないような……。
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