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「おめでとうございます!」
「はい? どちら様かな? あんた、もしかして相手を間違って電話を掛けられたんじゃ――」
「いえ、間違いではございませんよ。私どもは新元号を記念して、高齢者の皆様に電話を掛けているんです」
「元号が新しく変わったからといって、なんで高齢者に電話をしてくる必要があるんじゃ? それは少しおかしくないかい?」
「怪しむのも当然だと思います。今からその件に関してちゃんとお話しますので、どうかしばらくの間は電話を切らずに、私の話を聞いてもらえませんでしょうか? 決して損をさせるような話ではございませんし、迷惑を掛けるようなこともしませんので。ましてや、最近ニュースでやっているような詐欺紛いの話でもございませんので安心して下さい」
「あんたがそこまで言うのならば、話ぐらいは聞いてやってもいいがの」
「ありがとうございます。では、さっそくお話しをさせてもらいますね。――実は今回の新元号への改元を記念して、国の方から高齢者の方々に記念品を差し上げることになったのです。その連絡を、こうして各家庭にしているところなんです」
「ほおー、そうじゃったのか。それでどんな記念品をくれるというんじゃ?」
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