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「世良部長、内覧会お疲れさまでした。ほとんどのお客様が即決でお申込み下さるんですね。」
「あぁ、お疲れさん。
君は今日が初の内覧会だったね。
最近はネットで情報を仕入れてくるお客様がほとんどだから、ここで説明することはほとんど皆さんご存知なんだけどね。」
「でも実際に1階から最上階にいつのまにか移動するのは実際に体験してみると衝撃的ですね。
部長、実は私、来年結婚することになりまして...
うちのマンションの購入を考えてるんです。」
「それはおめでとう!」
「お隣さん評価を高くするコツ、教えてくださいよぉ。」
「コツか?
同じことをやっても、ありがたいと思う人もいれば、いらぬお節介と思う人もいるからね...
みんなだんだん評価されることにも、することにも疲れっちまうんだよ。
かと言って、気配を消して暮らしていると不審に思われて、いらない詮索をされたりな。
結局一番良いお隣さんに選ばれるのは、適度な生活音をさせて、会えば笑顔でご挨拶、でもそれ以上は関わらない、「ナシよりのアリ」をコツコツ積み上げていく、そんな人だね。」
「えーっ?そんなもんなんですねぇ。私、『たった五分で評価爆上がりのおすそ分け』とか『さらば低評価地獄』なんていうハウツー本買っちゃいましたよー」
「ははは、便乗商法にまんまとのせられてるなぁ。」
「でも、説明の最後で世良部長が言ってた、戸建て版ルービック・ハウスってスゴイですね。
土地ごと配置替えなんてできるなんて!」
「配置替え?そんなもんバーチャ...
いや、企業秘密だよ。
新人の君にはいずれ、ね。」
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