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「ハゲジジイ」
あ、つい心の中の呼び名が出た。
ジジイもとい、村長の広い額に血管が浮かんだので、咳払いをしてごまかす。
「いえ、村長。ありがとうございます」
「……ふん。相変わらず無礼な奴め。寛大な儂の愛が理解できんか」
愛とやらは良くわからないが、きっとそれはしょうもない概念なのだろう。
「それにだ。これにはひとつ条件がある」
だと思った。驚きはしない。
さて、褒美をチラつかせてまで“私に押し付けたい”案件とは、一体なんなのか。
村長は、厳かに口を開く。
「三日後、向こう十年の安寧を神に祈るための儀式が執り行われる。そこで捧げられる生贄を逃さぬよう、番を務めるのだ」
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