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 魔法国家ベルネフィット王国。かつて大戦国であったこの国は八方が壁に囲まれており、そのそれぞれの頂点に魔術師の塔が聳え立っていた。国から集められた精鋭の魔術師たちが働いており、有事の際にはその魔法使いたちが出動するのだ。  例えば東の山にドラゴンが現れた時には、“赤”の魔術師の塔のメンバーが集められ、討伐に向かった。王国に謎の伝染病が蔓延した時は、“白”の魔術師の塔のメンバーが不眠不休で働き続け、ついにその治療方法を解明した。  魔術師の塔のトップに立つ魔法使いは“色彩”の称号が与えられ、多大な権力と名声を得る。国王陛下に謁見したり、助言を行うこともあり、それは歴史を動かす力を手にする、ということだった……。  国境、北東。“緑”の魔術師の塔、最上階。  天井には八角形の明り取り窓が開き、曇天の昼間の光を取り込んでいる。部屋中央には巨大な円のテーブルが置かれ、それを取り囲むようにして“緑”の魔術師のメンバーが座っていた。 「これより――“緑”の魔術師の塔、定例会議を始める」     
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