13人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
モール所長が指を3本立てた。
「一つ、国王陛下を脅す。二つ、戦争を起こす。三つ、諦める。以上」
「えええ」
妖精族の少女が抗議の声を上げた。
「4つ目追加してください。『ストライキ!』」
続いてダークエルフのニシュも声を上げる
「5つ目!『銀行強盗』!」
「6つ目!『夜逃げ』!」
「7つ目!『帳簿誤魔化し』!」
「まともな選択肢がない……」
ドワーフのガイが頭を抱えた。
「とりあえず、まず一つ目の選択肢を行おうと思う」
そう言ったのは、フルーツケーキを食べ終わったモール所長だ。おいしかった。
「脅すんですか、国王陛下を」
信じられない、と言った表情で有翼人のテルが呟いた。
「まぁ、なるべく穏便には済ませたいところだけどな」
「────」
声を発したのは、最後までずっと黙っていた人物である。
彼の名はヒュー。皮膚が岩石に覆われている種族で、独特の声色と、聞き取りにくい独自の言語で話す。彼の言葉を翻訳できるのは、妖精族の少女と、この場ではモール所長のみである。
妖精族の少女が、岩石族ヒューの耳元まで飛んでいくと、うんうん、と頷いた。
「──彼は、なんと言っている?」
ドワーフのガイが尋ねた。
「僭越ながら──ケーキのおかわりが欲しいそうです」
最初のコメントを投稿しよう!