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 デュラハンのデュラハン(この種族には名前という概念がない)。『首が落ちた!! デュラハンだけに!!』というジョークが鉄板ネタだが、誰にもウケたことがない。まれに机の上をごろごろ転がっている。  岩石族のヒュー。彼の発する言語は理解しがたいが、彼自身は周りの言語を理解している。無口というよりは無言なタイプだが、その体格ゆえか存在感が一番ある。塔内に押し売り営業が来た時は彼が対応する。  妖精族の少女の名前はリー。よくヒューと一緒にいるところが確認される。少女とは言ったが見た目がそうなだけで、孫が三人いる。モール所長と孫の話でよく盛り上がっている。  本日、子供の高熱のため欠席の獣人族の女性の名前は“ヤ”。一文字の名前なので、みんなから「ヤーさん」と呼ばれている。“緑”の魔術師の塔のいいところは、食堂に近いところだと思っている。 「少ないねぇ」  盗賊ギルドにて。説明を聞いた、黒髪の男性が呟いた。 「少ないよー。“赤”だと100人ぐらい魔術師いるんだけどねぇ」  モール所長がウイスキーに口をつける。 「“赤”だと、パートの魔術師とかいるんだろ」  情報通である、黒髪の男性が呟く。 「バイトもいるらしいねぇ。ウチも雇おうかな」 「なにさせんの?」 「書類整理とか……」 「魔術師である必要なくない?」  老人のモール所長と、年若い黒髪の男性であるが、この二人は旧知の仲である。 「で、どうすんの?」     
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