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「と、言うことで。国民に向けて、“緑”の魔術師の業績をアピールしようと思います」
魔術師の塔に戻ってきたモール所長が言った。
「盗賊ギルドに行ってきて結論がそれですか」
有翼人のテルがため息をつく。
「だって、サンちゃんがそういうんだもん」
「え? サンちゃん?」
「“3番目の手”」
モール所長が名前を出すと、有翼人のテルはぎょっとした。
「えっ!? そんなのが知り合いにいるんですか!?」
「『そんなの』扱いか。本人にチクるぞ」
「やーめーてー!」
“緑”の魔術師の塔は、所長と新人がノリツッコミをする、明るい楽しい職場です!! という求人ポスターを今思いついたのは、ダークエルフのニシュである。
「でも、宝珠の結界を発動させるなら、それ相応の外からの攻撃がないとダメじゃないですか」
ニシュが机に肘をつきながら訊ねる。
「まさか、この国に空爆を行うつもりですか?」
「いや、そこは考えがあるから大丈夫だ、合法的にやる」
モール所長は、自分のデスクをあさり始めた。
「さてと。とりあえず、宝珠発動の許可願いの書類を書くか」
デスクに取り出した書類の山を見て、有翼人の新人テルはのけぞった。
「なんですかそれ」
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