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「お茶が欲しいですね。ちょっと淹れてきます」
有翼人が席を立った。
「あ、私も手伝いますよー」
ふわふわと飛び立った、妖精族の少女がついて行った。
「会議……」
モールが所長が呟いてから、一口フルーツケーキを口に含んだ。甘い。
「ただいまー。おっ、ケーキか」
トイレから戻ってきたドワーフの名前はガイという。この“緑”の魔術師の塔では古参のメンバーで、ドワーフにしては珍しく魔術師であり、なおかつ腕の良い魔法使いだと有名だ。
「俺、チョコレートケーキね」
ガイが太く短い指で指差す。
「ガイさん、甘いもの大丈夫でしたっけ?」
ケーキを取り分けていたダークエルフが訊ねた。
「俺、甘いもの割と好きだけどな」
「酒飲みなのに?」
「酒飲みと甘党は相反するものじゃねえぞ」
「そうかなぁ」
「で、大事な話って何なんだ、所長」
ドワーフのガイが尋ねた。
「……いや、まだ彼女らがお茶汲みにいってるし」
モール所長がもぐもぐしながら答えた。口の中が甘くなってきたので、そろそろお茶が欲しい。
「いいですよ、会議始めちゃいましょう」
ダークエルフが面倒くさそうに言った。
「どうせたいした話じゃないんだろ?」
ドワーフのガイも頷く。
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