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「大事な話だって言ってんだろ。言いたい放題だなお前ら」  モール所長がフォークを置いた。壁に向かって適当に指を動かすと、石壁の隙間を光のようなものが走る。暫くの後、壁には魔法で作られたスクリーンが映し出された。魔術式や、円グラフが書いてあるようだ。 「先日、王城で“色彩”の魔術師の塔の予算会議が執り行われた」 「それ、さっき聞きました」  ダークエルフが横槍を入れた。 「あっ、それで城下町のお土産なんですね~」  一足先に戻ってきた妖精族の少女が、自身の体ほどのケーキを前に格闘している。 「それで。なんですか、このグラフ」  ダークエルフが尋ねた。 「今年度の、各魔術師の塔の予算のグラフ」  赤、青、黒、白、紫と色とりどりの円グラフが並ぶ中、“緑”の円グラフの面積は極めて少ない。もしこれがケーキ配分だとしたら、確実に殴りあいになるレベルの薄いケーキのピースだ。 「魔法省が予算をくれない」  モール所長がため息をついた。 「いつものことじゃないですか」  ダークエルフが肩をすくめる。 「ほんとそれ。税金上がってるのに、ぜんぜんこっちに予算こないよな」  ドワーフのガイが愚痴る。 「こんど宝くじ買ってこようよ」     
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