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魔法国家ベルネフィット王国第102代国王、ベルネ王は、曇天を見上げてがっかりとしていた。
今日は年に一度の武術大会。平和な時代に生まれた武闘派の王にとって、この日は思うままに暴れられる最高の一日であった。が、今日は午後から雨の予定らしい。がっかりだ。
しかし、執務室に入ってきた側近はこう言う。
「本日の午後からの武術大会、楽しみですね」
「あのなぁ。お前、天気予報みてないの?」
国王陛下が回転椅子で270度ほど回転しながら言う。
「今日、午後から雨なんだってよ」
「おや、陛下、ご存知ではないのですか」
側近は手に持っていた書類を机の上に差し出した。
「今日は、“緑”の魔術師の塔が、宝珠発動の訓練をするんですよ」
「あー、なんかハンコ押した覚えあるかも。国内でもだいぶポスターとか貼ってたしな」
国王陛下は差し出された書類を眺めた。
「120年前の国防魔術の確認ねぇ……で、宝珠発動するとどうなんの?」
国王陛下が首をかしげて、不貞腐れながら呟く。
「今回は、雨と雷雨を防ぐそうですよ」
「マジでーーー!!」
国王陛下が立ち上がって、回転椅子を吹っ飛ばした。回転椅子は執務室の壁に激突して鈍い音を立てた。
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