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クリームソーダの王子様
ふわふわのメロンクリームソーダ。小さい頃大好きだった。キラキラの緑のソーダに白いバニラアイスが溶けていく。てっぺんには大事な赤いチェリー、かわいくてなかなか食べられなかった甘酸っぱいチェリー。それが、私に語りかけている。
「ねえねえ、大丈夫?」
「……へ、え?」
「立てる?」
「あ、ああ……ほら、たてますぅ……」
「危ない!!」
よろけた私は、ぽふんと誰かに抱き留められた。ふわっと香るバニラの香り。そこからまた私はふわふわのメロンソーダの夢の中に落ちていったのだった。
「そろそろ七時だよー!?」
「うーん、今日は休みだからへいきー」
「そう、なら良かった」
優しい声が降ってくる。朝のあかるい日差しがカーテンの隙間がら漏れている。かすかに風に揺れるそれは爽やかなミントグリーン。それを目にした私は急に我に返って飛び起きた。この間取り、ベッドの位置……。これは私の部屋じゃ無い!
「ふぇっ、ここどこ!?」
「あー……そっからかー」
慌てふためく私の後ろから聞き覚えの無い若い男の声がした。昨日、散々酔っ払ったのまでは覚えている。それで私は見ず知らずの男の家に転がり込んだのか……。急にガンガンと頭が痛くなって来た。
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