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そう思って周りを見渡すと、他のテーブルからチラチラを視線が飛んでくるのを感じた。ああ、みんなかのん君を見てるんだ。
「真希ちゃん、やばい!」
ぼんやりとしているうちにテーブルにいちごパフェが運ばれてきたようだ。うわー。まるでお姫様のオモチャ箱みたいな愛らしいパフェが目の前に鎮座している。
さっきの事から学習して、かのん君の撮影会が終了するのを待ってから、早速食べる事にした。
「どっから食べよう……あ、真希ちゃんはコレ。あーんして?」
かのん君はパフェのてっぺんに乗ったチェリーをつまんで私に差し出した。
「え?」
「真希ちゃんの大好きなチェリーだよ? 要らないの?」
「なんで知ってるの」
そこまで言って、どうせ酔っ払った時に口走った情報だと気づいて私は頬を赤くした。
「ほら、あーん」
なんだか周りの視線がギュッと音を立てて突き刺さってくる気がする。でも、かのん君は私が口を開くまで許してくれそうにない。私は観念して口を開いた。ひんやりして、ちょっと柔らかくて真っ赤なチェリーが口に入る。私は俯いてそれを咀嚼して飲み込んだ。
それから、くまさんのクッキーや色とりどりのマシュマロをスプーンで突きながら夢の国のパフェを平らげたのだった。
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