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「こっちの方が真希ちゃんに似合う」
「そ、そう……? 私、いまいち自分に似合うのとか分かんなくていつも無難なのしか選ばなくって」
「うん。真希ちゃんは面長でかっこいい系だからこういうのが絶対いいよ」
私、カッコいい系なの? はじめてそんな事言われた。いつも服を買うときは流行りや店員さんの言うとおりにしてばかりだった。
「ね、試しに着てみようよ」
「うん……」
試着室でかのん君の選んだワンピースを身につけてみる。サイズはぴったり。ちょっと変形の襟元のデザインが新鮮だ。自分だったら絶対選ばないだろうな。
「どう、真希ちゃん着替え終わった?」
「うん」
「見せて見せて」
かのん君はシャッと更衣室の仕切りのカーテンを開けた。
「やっぱり良く似合ってる」
そう言ってとろけるような微笑みを浮かべた。
「ほら、良く見て。ほっそりして見えるし、顔色も映えてるでしょ?」
かのん君の言う通り、見たことのない雰囲気の私。私ってこんなんだったんだ。
「店員さん、このまま着ていくのでタグ取っちゃってください」
「かのん君!」
「いいの。俺が選んだ服で街を歩きたいんだ」
強引にかのん君はお会計を済ますと、二人して駅ビルを出た。
「かのん君、ありがとう」
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