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プリンセスのドレス
「おいしかったねぇ」
にこにこと微笑むかのん君。カフェでの飲食代は私は、助けて貰ったお礼に払うと言い張り、かのん君は誕生日なんだからと言ってレジで揉めたので結局割り勘にしてもらった。
「じゃあ次は真希ちゃんの誕生日プレゼントだね」
「ほんと、そういうのいいから」
「嫌だ!! 誕生日を祝わせてよ!!」
大声で私に食ってかかるかのん君の勢いに負けて、駅ビルで買える位のものならOKという事で了承した。
「何にしようかなぁ」
かのん君の視線が、私のつま先から頭のてっぺんまで伝っていく。もぞもぞとくすぐったい気分で私はその視線を受け止めた。
「ううーん。そうだなぁ」
「か、かのん君。ちょっと恥ずかしいんだけど」
「もうちょっとだけ! じっとしてて」
かのん君は、指をフレームの様にして私をじっと覗き混んだ。それから、うんと軽く頷くと私の手を引いた。うわ、手つないじゃってるよ。私の耳たぶが熱を持っていくのを感じる。
「あ、真希ちゃん。これなんかどう?」
「え……?」
かのん君が指さしたのは、ペールブルーのかちっとしたシャツワンピースだった。いかにも出来る女って感じの。今、私が著ているピンクのワンピ―スとは真逆の感じ。
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