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青のティアラ
「ごめんねー、急にー」
まるで実家のように原宿のオシャレな美容院の扉を開けるかのん君。店の奥からゆったりと出てきたのは、またこれがゆるウェーブの黒髪が決まった長身のイケメンだった。
「まったく、せめて3日前には言ってよね」
「えへへー」
文句を言いながらも多分美容師と思われるその男性は笑顔だ。かのん君も気安く友人のように応じている。
「真希ちゃん、この人、俺の担当さんで紬さんっての」
「よろしくお願いします、あの急にごめんなさい。大丈夫なんですか?」
「ああ、ちょっと調整したから大丈夫よ」
紬さんは私の顔をじっと見ると、怪訝そうに眉を寄せた。
「ふうう~ん? かのん、どこで引っかけてきたのよ。こんなおぼこい子」
「おぼっ……」
「えー? 家の近所だよ。そんな事よりさ、真希ちゃんの着てる服に似合うようにセットしてよ」
紬さんの視線がすっと私の全身をチェックする。直線的なこのシャツワンピースには正直私の量産型の茶髪巻髪には似合っていないと私でも思う。
「うーん、セットでもなんとか出来るけど、いっそカットとカラーやっちゃわない?」
じっと私を観察していた紬さんからそんな提案が出た。
「えっと、カットって……」
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