スイーツの国

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スイーツの国

 気まずい朝食を終え、せめてもの恩返しにお皿を洗わせて貰った後。私は深々とかのん君に頭を下げた。 「お世話になりました。このお礼はいずれ……」 「ええ? 帰っちゃうの?」 「あ、まあ着替えたいですし」  お風呂にも入りたい。髪の毛も酒臭い気がするし。そうすると突然かのん君は私に抱きついてきた。ちょっとだけ私の方が背が高いので私が抱きしめるような形になってしまったけど。 「着替えならうちにもあるし。お風呂も使ってよ」 「いや、すっぴんだしね……」 「俺がメイクする!」  もぞもぞ嫌々をいるかのん君。あざとい……けどかわいいのがちょっと小憎たらしい。 「かのん……君。あの、一応大人として私、もう自分が情けなくって仕方ないのね。だから今日は帰らせて」 「でも今日休みなんでしょう?」  そう、今日はお休み。本来は誕生日は彼氏と一緒に過ごす為にわざわざ有給を取ったのだ。だけど、今日は家で泣きたい。失恋と今朝のハプニングを含めて泣きたい。 「だけど……」 「わかった。一旦家帰って、身支度したら駅ビルで待ち合わせしよ?」 「……それなら」     
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