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二人してベッドに倒れ込んだ。
* * *
互いに衣服を脱ぎ捨て、裸でひしと抱き合う。伊織の身体に溺れたいという欲望もあったけれど、それ以上に、不可分なかたちになりたかった。
肌を合わせれば分かる。彼女が俺を受け入れたいと思っているかどうかは。
舌を絡めて、柔らかい身体を愛撫していく。
どうして伊織は、ふっくらした曲線をああも気にするのだろう。こんなにも俺を落ち着かせ、心を癒やす身体なんてないのに。彼女のなにもかもが、まぶしくてたまらないのに。
「伊織、きれいだ」
「ああっ……」
太ももをまさぐって、胸の頂を口に含む。伊織が頬を染め、敏感に反応しながら甘い声を漏らす。その裸身の火照りが俺を煽る。
彼女を抱きしめつつ、鎖骨や首すじにも唇を寄せた。
じかに触れ合っても、これは自分の心が作り出した幻なのではないか、と切なくなる。
疑念を打ち消そうと、相手の耳に囁きかけた。
「伊織。奥まで確かめても……いいか?」
彼女は恥ずかしさのために一瞬ためらう。だが、おずおずとうなずく。
「……うん」
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