後編

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 伊織がいとおしむ瞳で見上げてくる。どうして彼女はこれほど絶対的な存在なんだろう。  俺は相手の唇にキスをした。 「伊織、お前を愛してる。ありきたりの言葉しか出てこないのが、情けないよ」 「ううん。そこにどれだけの気持ちがあるか、伝わってくるから。私も、あなたを愛してる」  告げて、そっと口づけてくれた。  いったん止めた動きを再開する。とたんに理性は薄れ、快楽に浸食される。  輝かしくて清らかで、それでいて官能的な彼女。俺を狂わせるには充分だ。 「ふあ、あぁんッ、ひぁあ……!」 「っく、伊織!」 「は、あぁあんっ……!」  抱きしめて激しい責めを加える。ふたつの身体からにじむ汗が、肌の滑りを良くしていく。  俺から派生した嵐が彼女に襲いかかり、容赦なく翻弄する。伊織はその小さな体で受け止め、導き、そして……解放した。 * * *  再び服をまとい、俺は伊織の膝枕で横になった。こちらを見下ろす彼女の髪を、指でもてあそぶ。 「伊織、今日は休みだったよな」 「うん」 「じゃあ、ドライブしよう。行きたいところ、あるか?」 「涼くんが寝てる間に考えておくね」
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