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急に寂しさと焦りと不安が込み上げてきて、それを満たしてくれる何かを探そうとして走った。平衡感覚が無く、すぐに倒れ込んでしまった。 もう起き上がる気力もなくて、体がだるかった。 息ができなかった。 苦しかった。 手を繋いでいないからだ、とぼんやりとした意識の中そんなことを考えた。手を繋いでいないから生きるためのエネルギーを分け合えないのだ。パパもきっとそのせいで帰るエネルギーが無くなってしまったのだ。 だから今からパパと手を繋げば、一緒にママの所に帰られるね。 雨が降っていた。 僕はもうずぶ濡れで。 頬に一筋の雫が垂れた。 泣いていたかもしれない。 とても鉄臭い匂いがした。
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