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「異能力者ひとりに異能力はひとつだけだ。しかし近年、どう考えても二つ以上の能力を扱う異能力者が現れているらしい。今年の初めに区分が四つから六つに増えた。物質干渉・身体干渉・精神干渉・概念干渉・存在干渉・特殊系統の六つだ。一応、頭に入れとけ。ま、テストには出ないがな」
異能力者、か。
ふと、考える。
もしも僕が女の子なら、裕璃に恋人ができたことを、素直に祝ってあげられたのだろうか。
裕璃にばかり固執しないで、他の女子にも話しかけることができて、裕璃以外にも女友達ができたのかな?
もし女になれば、こんな、こんな腐った思考ーー『裕璃と付き合う野郎が酷い人間だったら?』とか『裕璃が知らない野郎とヤるのか』だとか『裕璃が処女じゃなくなってしまう』やら、あれやそれやこれや……考えずに、済むのかな。
横目で裕璃を窺い見る。
膝より高めにした制服のスカートから、健康的な足が地面へと伸びている。
ノートに授業の内容を執筆するその顔は、いつもと同じ裕璃の表情。肌が少しだけ焼けていて、健康だと主張している。
胸にあるのは、やや大きめな双丘。多分、CかDカップくらいあるだろう。
ーーダメだダメだ!
裕璃を見ていると、なぜかムラムラしてしまう。
あの体を合法的に味わえる男がいるんだ、と考えるとイライラする。
裕璃は容姿だけじゃない。やさしくて、天然が混じっていて、いつも守ってくれた……。
悔しくなんてない。
羨ましいわけがない。
自己暗示のように、頭のなかで繰り返す。
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